戦後の日本画壇を代表する画家。1930年6月15日、広島県生まれ。2009年12月2日脳梗塞(こうそく)のため死去。旧制中学3年の時に被爆。東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学、日本画家前田青邨(まえだ・せいそん)に師事し、日本美術院展に作品を出品しはじめる。このころから、被爆体験に根ざした平和への祈りが、平山郁夫の絵画制作の理念になっていた。1959年に発表した「仏教伝来」は、単に仏教の歴史を絵にしたというだけではなく、平山郁夫の世界平和への祈りがその制作の基盤となっていた。以後、仏教やシルクロードの歴史や風土、文化遺産に取材し、壮大なスケールによるロマンあふれる現代日本画の傑作を次々に描き出して行った。さらに、紛争などでシルクロードの文化遺産が破損されていくのを目の当たりにして、文化財保護運動に率先して乗り出して行った。長年の業績により、98年に文化勲章を受章、2003年度には朝日賞を受賞した。