2009年3月に、イタリア・ルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の鳥の飛行を論じた原稿から、500年の時を経て、ダ・ヴィンチの30代の自画像が発見された。先立つ08年の暮れには、ルーヴル美術館所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチ作「聖アンナと聖母子」の裏側に、馬の頭部など3点のスケッチが発見されている。そして、09年10月には、それまで19世紀ドイツの画家の手によるものとされていた女性の横顔を描いた絵が、レオナルド・ダ・ヴィンチの作であると公表された。図柄を見る限りイタリア・ルネサンス風の表現であり、なぜ19世紀ドイツの画家の作品と思われてきたのか、理解に苦しむが、おそらく来歴から、19世紀ドイツの画家がイタリア・ルネサンス風の絵を描いた作品と伝えられてきたのであろう。それまでだれも疑いもしなかった作品が、ダ・ヴィンチの作品の可能性があるとして、科学的な調査を行い裏付けが得られたのであった。赤外線などの鑑定の結果、画面の左隅にダ・ヴィンチの「聖ヒエロニムス」に残された指紋と酷似したものが発見されたのだという。描かれた女性のモデルは、ダ・ヴィンチのパトロンだったミラノのルドビコ・スフォルツァ公の娘と考えられている。