2010年9月、スペインの個人蔵の作品を、スペイン国立プラド美術館が調査し、16世紀、現在のベルギーにあたるフランドルで活躍した巨匠ピーテル・ブリューゲル(父、Pieter Bruegel the Elder 1528ごろ~1569)の真作であったことが確認された。作品は、縦148センチ、横270.5センチという大作で「聖マルタン祭のワイン」と題されている。現存するブリューゲル作品では最大級で、1565~68年ごろの作とみられている。ブリューゲルの作品は、きわめて少なく、約40点が確認されているにすぎない。今回発見された作品は、大作である点でも非常に価値のあるものといえる。そこには、ブリューゲルが得意とした、同時代の農民たちがぶどうの収穫に感謝し、ワインに酔いしれる祝祭の場面がみごとに描かれている。スペイン文化省は2010年10月にこの作品を700万ユーロ(約8億円)で購入することを決定。プラド美術館には、現在すでに、ブリューゲルの代表作品のひとつである「死の勝利(The Triumph of Death)」が所蔵されている。