2010年8月、京都府木津川市の国宝浄瑠璃寺三重塔の下層部の天井板に、平安時代の落書きと思われるものがあることがわかった。浄瑠璃寺といえば、池を前に静謐(せいひつ)な雰囲気を漂わせる本堂の情景が有名である。高さ16メートルの三重塔は平安末期の1178年に平安京から移築されたといわれ、その後も何度か修理がなされたとされる。落書きは、2009年から進めていた屋根のふき替え修理の際、天井板40枚を取り外していて発見された。天井板の裏側に描かれた落書きは、縦横10センチくらいで、先端に丸いものがついた帽子をかぶった人物が描かれており、手には棒や玉のようなものを持っている。07年には、同塔の内壁に曲芸をする人物の落書きが見つかっており、関連性が認められる。服装などから平安末期から鎌倉時代のものとみられている。これらが単なるいたずら書きなのか、何かの儀式とかかわりがあったのか、今後の調査が待たれる。