2010年11月3日、千葉市に開館した、現代日本の写実絵画だけを集めた美術館。医療用品メーカー、ホギメディカルのファウンダーである保木将夫が収集した約300点の写実絵画のコレクションを公開する。日本では、1980年代まで欧米の前衛的な絵画の流れをくみ、特に洋画の世界では、抽象絵画や、具象絵画の中でも半具象絵画が主流を占めていた。しかし、90年代にスペインの画家アントニオ・ロペス・ガルシア(Antonio Lopez Garcia 1936~)の写実絵画が紹介されると、その思想的な裏付けの上に描かれたリアリズム絵画に驚嘆の目が向けられ、日本でも次々と具象画、わけても写実にこだわる絵画を描く画家が多数現れはじめ、新たなる写実絵画ブームが生まれた。もちろん、それ以前から、写実にこだわる画家はいて、特にホキ美術館のコレクションでは、1930年代生まれの画家森本草介(1937~)、野田弘志(1936~)、中山忠彦(1935~)の3人の作品が主体となっている。森本の写実を通した理想的女性表現、スーパー・リアリズムといえる野田の写実主義、中山の古典主義的な重みをもつ具象表現とそれぞれに質の高い写実絵画が現代人の心をひきつけはじめている。