「再生」をテーマにして創作活動を続けてきた現代美術家のヤノベケンジ(1966~)が、東日本大震災からの復興を願い、「サン・チャイルド」を制作。2011年秋から12年2月まで、東京・南青山の岡本太郎記念館で展示した。「サン・チャイルド(Sun Child)」は、放射能防護服を着て、左腕にヘルメットを抱え、右手に希望の象徴を表す太陽をのせた、未来に希望を抱く子どもの像である。ヤノベケンジは、今までも放射線感知服「アトムスーツ」を着て、「未来の廃墟に時間旅行する」をテーマに、チェルノブイリ原発事故の汚染地域や日本万国博覧会(大阪万博)跡などを自ら訪問し、撮影する「アトムスーツ・プロジェクト(Atom Suit Project)」など、高い社会性を込めたアート活動で、国内外から評価を得ている。絶望的な状況のなかにあっても多くの人に希望を持たせるものを作り上げるのが芸術家の大切な役割であるとするなら、「サン・チャイルド」はそうした作品の典型といえよう。