ヒロシマ賞は、広島市の芸術活動の高揚をはかり、世界の恒久平和を願う「ヒロシマ」を広くアピールすることを目的に広島市が1989年に創設した賞で、3年に一度、現代美術の分野で人類の平和に貢献した作家に贈られる。2011年第8回ヒロシマ賞をオノ・ヨーコが受賞した。その受賞を記念して、11年7~10月に広島市現代美術館で「オノ・ヨーコ展 希望の路」が開催された。オノ・ヨーコは、1933年東京生まれ。53年にニューヨークに移り住んだ後、前衛的芸術集団フルクサスに参加、以降半世紀にわたって、詩、音楽、視覚芸術、パフォーマンス、映画などさまざまな分野で活躍し、平和活動家としても知られている。この展覧会開催準備中に、東日本大震災が発生し、福島第一原子力発電所事故まで起こったため、当初の原爆を主題にした内容を変更し、広島の原爆と東日本大震災を結んだ歴史の先に、希望を見いだそうとするテーマに企画し直した。被爆者と被災者を悼みながら、将来的に再建・復興を願うオノ・ヨーコのメッセージが込められた展覧会であった。夫の故ジョン・レノン(1940~80)の遺志を継いで平和へのメッセージを伝え続ける芸術家オノ・ヨーコならではのヒロシマ賞受賞記念の展覧会となった。