絵画や彫刻だけではなく、この半世紀では映像による作品が多く作られ、インスタレーションとともに現代美術の表現方法の柱として、ひとつのジャンルを形成してきた。それは、科学の進歩とともにあることは間違いなく、とくにIT産業の発達とともに、芸術表現のみならず、展覧会の舞台作りにまで影響を及ぼしている。2012年は特に、最新のデジタル技術などを駆使した体感型の展示を提供する展覧会が目立った。子どもに関心を向けてもらうことが目的であったが、大人にも興味を持たれるものが多く、たとえば、ゲーム感覚で楽しめた日本科学未来館の「科学で体験するマンガ展」や、夏休み企画で関心を呼んだサントリー美術館の「おもしろびじゅつワンダーランド展」、科学の技術と芸術の融合を示した千葉県立美術館の「光のアート展」などである。今後もこのような体感型の展示が増えていくことであろう。