美術館・博物館の仕事は、美術作品を収集し展示することだけではなく、さらにそれらを保存修復していくことにも向けられる。それは、過去・現在の作品をただ集めるだけではなく、未来へと文化遺産を継承していく積極的な行為である。多くの美術館は、破損した作品を修復するのに、外部の修復家(コンサーベーター)に依頼しているのが現状であるが、美術館・博物館の職員として従事しているところもある。洋画の修復家に関しては、戦前まで、洋画家が片手間に修復も行っている状況であったが、戦後、ヨーロッパに渡って修復の技術を学んでくるものが出てきて、現在では、東京藝術大学など、保存修復を学問としてとらえ研究する学科をもつ大学が出現してきた。2011年3月11日の東日本大震災で博物館や美術館が被災し、多くの美術作品が破損したが、それらの修復にボランティアとして多くの修復家がかかわったことで注目を浴びた。