美術教育は、その時代、時代で考え方が異なるのは自然なことであるが、造形活動については、1956年の学習指導要領でその重要性が述べられている。77年の小学校学習指導要領では、表現や創造活動の喜びを体験させることが重視され、1・2学年の項で造形的な遊びという言葉が登場した。89年には造形遊びという表現に変わり、3・4学年にまで、98年には5・6学年まで造形遊びが広げられた。体験重視の方針はその後も変わらず大筋で続けられている。また、学校教育のみならず、美術館との連携を深めることで、造形活動・造形遊びはより活発化した美術教育として広まっている。そこでは、お仕着せの美術教育から離れ、生徒が自身で主体的に考え、自由に表現していくという自己表現の実践を目的としている。造形活動・造形遊びの実践の典型的な一例としてあげられるのが対話型鑑賞だ。もともとはアメリカではじまった取り組みで、美術史的な知識などを一方的に押しつけるのではなく、自発的に物事を他者に伝える能力を育てるために開発されてきた手法である。日本では学校と美術館との連携で美術教育を取り組む上で、より必然性をもって進められてきたのがこの対話型鑑賞である。