第二次世界大戦後、新しい芸術を求めて集まり、活動した日本の若き気鋭芸術家グループ。彼らの芸術運動そのものを称することもある。グループの特色は、美術、音楽、文学、あるいは照明、技術など、ジャンルを超えたさまざまな人間が集まり、総合的な芸術を求めたところにある。メンバーとして、美術界では大辻清司、北代省三、駒井哲郎、福島秀子、山口勝弘、音楽界では佐藤慶次郎、武満徹、湯浅譲二らがいた。1951年のピカソ祭で上演されたバレエ「生きる悦び」の台本、舞台装置、音楽に、後の実験工房のメンバーが抜擢(ばってき)されたのが設立の契機となった。名付け親は、詩人で美術評論家の瀧口修造。以後、57年頃まで、造形、音楽、ダンス、演劇、映画など様々な分野で実験的な創作活動を展開した。戦後芸術の先駆者として、再評価の機運が高まり、2013年1月から3月にかけて、神奈川県立近代美術館で企画展「現代への扉 実験工房展 戦後芸術を切り拓く」が開催され、14年1月までに、いわき市立美術館、富山県立近代美術館、世田谷美術館と、4館の公立美術館を巡回した。