和多利志津子経営のギャルリー・ワタリを前身とし、1990年9月、渋谷区神宮前に開館した私立美術館。初代館長の志津子死後は、彼女の長女、長男でキュレーターの和多利恵津子、浩一が後を引き継いでいる。建物はスイスの建築家マリオ・ボッタの設計による5階建てで、1階と地下にミュージアムショップの「オン・サンデーズ」がある。年4回程度開催している企画展は、ヨーゼフ・ボイス、ナム・ジュン・パイク、草間彌生など1960年代以降の現代美術が中心だが、一方で、萩原朔太郎やルドルフ・シュタイナー、ダライ・ラマなど、その展示内容は広範囲にわたっている。また、企画展に関連したトークショーやワークショップも同時に開催している。2013年には、7月から11月まで、前衛演劇集団「天井桟敷」の主宰者で歌人でもある寺山修司(1935-1983)の展覧会「寺山修司 『ノック展』」を開催。「ノック」とは、1975年4月19日に寺山修司が阿佐ヶ谷近郊で行った30時間の市街劇のタイトルにちなんだもので、寺山修司没後30周年を記念し、彼の業績を再検証する展覧会となった。同年11月から14年3月までは、マイノリティーの人々を多く被写体としている齋藤陽道(はるみち)の写真展「宝箱」を開催。