1950年(昭和25)8月29日に施行された文化財の保存・活用と国民の文化的向上を目的とする法律。戦前から史蹟名勝天然紀念物保存法(19年制定)、国宝保存法(29年制定)、重要美術品等ノ保存ニ関スル法律(33年制定)があったが、49年(昭和24)1月26日に起きた法隆寺金堂の火災により、「法隆寺金堂壁画」が焼損したことで、文化財保存について、再検討がなされる機運が高まり、議員立法により制定された。上記した戦前からの三つの法律が定める史蹟名勝天然記念物、国宝・重要美術品はもとより、芸能や工芸技術などの無形文化財、衣食住や生産、信仰、年中行事等国民生活の推移に関する有形無形の資料となる民俗文化財、土地に包蔵された遺跡や遺物などの埋蔵文化財を新たに保護対象に加え、これらを合わせて「文化財」という広い概念の下でひとくくりにした文化遺産全体を保護する制度となった。これにより、文化財は有形文化財(国宝を含む重要文化財、登録有形文化財)、無形文化財、記念物(遺跡、名勝、動植物及びその生息地・自生地、地質・鉱物を含む)、民俗文化財、埋蔵文化財の5分野に再編されることとなった。なお、75年には伝統的建造物群保存地区、2005年には重要文化的景観が保護の対象に加わっている。