国土交通省が美しい国づくりに向かってかじ取りを表明して以来、景観をめぐる議論が注目されている。2004年、景観法が制定された。同年、都市計画の研究者、伊藤滋(いとうしげる 1931~)が「美しい景観を創る会」を設立し、「悪い景観100」のリスト作成に着手した。また「悪い景観」に選ばれた東京・日本橋の上の首都高速道路は、移設が決まった。しかし、数千億円を要するプロジェクトがかたちを変えた道路建設であることや、そもそも美しいとは何かという議論も必要だろう。広島でも、原爆ドームの近くに高層マンションが建設されることで景観を損ね、世界遺産の登録が取り消されるかもしれないと問題視されている。これも高さだけではなく、デザインのレベルで考えるべきだろう。