建築家宮本佳明(みやもとかつひろ 1961~)が提唱した都市空間の異物に関する概念。例えば、碁盤目状の街路がおおうマンハッタンを斜めに貫く、もともとはけもの道として成立したブロードウェイや、須磨ニュータウンとして造成された風景のなかで唯一自然の地形が残されたタンク山などをさす。彼の著書「環境ノイズを読み、風景をつくる。」(2007年)では、地形、古墳、条理制、中断した開発、風向きなど、空間にほころびを起こす様々な要素を分析し、それらを生かしたデザインの手法を論じた。つまり、計画の失敗や邪魔とされるネガティブなものをポジティブに再解釈している。即物的な環境のあり方が、どのような空間の操作を誘発するのかという視点は、時間や空間のスケールを大きくしているが、アフォーダンス(環境が人間を含めた動物に提供する価値、あるいは価値のある情報)に近い。