東京国立近代美術館において、ポストモダンの動向を紹介した「近代のみなおし」展(1986年)以来となる、四半世紀ぶりの本格的な建築の企画展。2010年4月29日~8月8日に開催された。日本の国立美術館における建築家の新作インスタレーションだけの展覧会としても画期的な試みである。本展には、1940年代生まれの伊東豊雄(1941~)や鈴木了二(1944~)から、内藤廣(1950~)、アトリエ・ワン(塚本由晴:1965~/貝島桃代:1969~)、そして70年代生まれの若手、中山英之(1972~)、中村竜治(1972~)、菊地宏(1972~)まで、幅広い世代の建築家が参加し、それぞれのデザインの特徴をよく反映した空間を会場に出現させた。特に精密なレーザー加工のデジタルテクノロジーと繊細な手作業でつくられた中村竜治の「とうもろこし畑」(2010年)は、わずか1ミリの厚さの紙の棒をつないだ立体格子を反復し、ほとんど空気のような繊細かつ大きな構造体であり、注目を集めた。