中国2010年上海万博(5月1日~10月31日)は、会場面積5.28平方キロと、愛・地球博(愛知万博)のおよそ倍の広さの会場であり、来場者数も7308万人と史上最大規模となった。赤い巨大な中国国家館は、木造建築の細部を拡大した造形によって、伝統との連続性を示し、国家を表象した。各国のパビリオン建築は、派手なデザインを競いあい、日本万国博覧会(大阪万博)の雰囲気に近い。一方、メーン会場と川を挟んだ対岸の浦西地区は、リノベーションの物件が多く、エコロジーの時代も意識している。全体的にヨーロッパのパビリオンはすぐれたデザインが多い。とくに6万本のアクリルの棒がおおう、毛むくじゃらの外観をもつ、トーマス・ヘザーウィック(Thomas Heatherwick 1970~)が設計したイギリス館は高い評価を受けた。7.5メートルの棒は館外にも飛びだし、光を内部に導くと同時に、先端に植物の種子を埋め込む。これは「種子の大聖堂」と命名され、展示のコンセプトと建築のデザインが見事に連続していた。