2010年、奈良県において平城遷都1300年祭が開催された。西洋の組積造の遺跡と違い、壊れかけの廃虚が残らない木造建築だけに、大きな空き地を見ながら、ありし日の平城宮跡を想像する会場は、日本的な遺跡の展示といえる。また目玉として完全に復元された巨大な朱雀門と高さ27メートルの第一次大極殿正殿も、西洋にはない日本的な古代建築の展示手法である。ただし、奈良文化財研究所が復元設計を手がけた木造の大極殿(だいごくでん)は、基壇の内部に免震装置を入れたり、小屋裏に端部を金物とする木の筋交いを使うなど、現代の技術も生かして、現行の建築基準法に適合させている。一方、新築された交流広場のまほろばステージでは、地下の遺構に影響をあたえない特殊な構法を採用しつつ、現代的な感覚をもつ木造の大空間を実現させた。