若手建築家の藤村龍至(ふじむらりゅうじ 1976~)により提唱された設計の方法論。通常の設計過程においてアイデアの飛躍があったり、いくつも案が派生し、ときには以前の段階へ戻って再検討されるのに対し、超線形プロセスでは、ジャンプしない、枝分かれしない、後戻りしないという3つの原則を掲げる。設計の与条件をひとつずつクリアしながら、形態を生成・進化させていくが、各段階において模型を作成・保存することも重要な特徴だ。すなわち、設計をブラックボックス化せず、デザインの説明可能性をあげる手法であり、履歴を共有することで、建築の専門家でなくても、設計過程が理解できるよう可視化される。藤村はこの方法論を自作のBUILDING K(2008年)などの設計に活用したほか、設計課題や都市計画のワークショップなどにおいても採用した。こうした試みにおいて複数の設計者の参加やデザインの底上げを行う有効性を探っている。