社団法人日本商環境設計家協会(JCD)が、商環境を中心とする空間デザインの顕彰を目的として、もともと1974年に公募形式ではじめたもの。21世紀に入り、公募の対象をアジア地域に拡大したり、ネットによる応募、公開審査、名称などの改変を行い、現在の開かれた「JCDデザインアワード」となった。また多様な視点によって評価を行うために、エットレ・ソットサス、ジャン・ヌーベル、山本耀司、糸井重里、宮本亜門、佐藤卓、原研哉など、多分野から特別審査員を招聘(しょうへい)している。基本的にはインテリアデザインを対象とした賞だが、近年では建築家による作品の入賞が続いたことで話題を呼んだ。2009年は中村竜治(なかむらりゅうじ 1972~)のブロッサム、JCDの創立50周年となった11年は吉村靖孝(よしむらやすたか 1972~)のレッドライト・ヨコハマが大賞に選ばれたほか、上位に多くの建築家が名を連ねている。こうした背景には、若手建築家がインテリアの仕事も、重要な表現の機会と考えるようになったことに加え、建築とインテリアの境界があいまいになっていることが指摘できるだろう。いずれのジャンルでも、近年は派手な造形より、その場でしか経験できない現象をもたらす場のデザインを志向する傾向が強い。