液状化現象とは、地下水位の高い砂質土層が地震などの揺れによって、砂の粒子が互いを締め固める摩擦力を失い、地下水に浮いたような不安定な状態になることをいう。その結果、地下水や砂が表面に噴出することによって地盤沈下、また不同沈下によって建物が基礎ごと傾くといった被害が発生する。日本では、1964年の新潟地震によってアパートが大きく傾斜し、液状化が注目されるようになった。2011年の東日本大震災では、世界最大の液状化現象が起き、首都圏でも広範囲に被害をもたらしている。地震や津波による激しい破壊を免れても、液状化によって致命傷を受けた住宅や街が少なくない。とくに千葉県では被害が目立ち、2011年6月の時点で4万2000世帯以上が損壊被害を受け、このうち3962世帯が全壊・大規模半壊と認定された。比較的新しい埋め立て地がダメージを受け、配管の露出、道路が波打つ、家が傾くなどの被害に続き、ライフラインの断絶が深刻な問題となった。千葉県浦安市では、地中のインフラが破壊され、上水道の復旧に1カ月以上を要している。こうした事態は不動産業界にも影響を与え、震災後は地盤を重視する消費者の動きがあらわれた。