1978年、熊本県生まれの建築家、作家、アーティスト。ただし、都市システムの改善を提案する建てない建築家である。東京、名古屋、大阪の段ボールハウスを撮影した「0円ハウス」(2004年)の写真集で注目を集め、その後も土地や貨幣に縛られない彼らの生活を記録した本を刊行したり、ホームレスのDIY技術に学び、移動可能な住宅モバイルハウスを制作した。土地、住宅を購入し、莫大な住宅ローンを払っていく従来の方法が、現在破綻しつつあるとし、それに代わる新しい方法として彼は所有しない、定住しない、固定しない、という三原則を掲げている。東日本大震災が起きた後、自身の故郷である熊本に移住し、そこで原発事故の影響から避難した人々を無償で受け入れるゼロセンターを創設する。11年5月16日、彼は自身を総理大臣として独立国家の設立を宣言したが、お金に頼らない社会のオルタナティブを提示する姿勢は、近代以降から続くユートピア的な社会運動の現代版といえるだろう。12年には彼をとりあげたドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」(本田孝義監督)が公開されたほか、ワタリウム美術館で個展が開催された。