芳賀沼整(はがぬませい 1958~)が率いる福島県会津市の設計事務所はりゅうウッドスタジオが東日本大震災後に手がけた一連の木造による仮設住宅を指す。またこれらのプロジェクトを紹介する本のタイトルでもある。はりゅうウッドスタジオは、福島県内の各所でログハウスによる仮設住宅群を計画し数多く建設した。木造仮設住宅群は、構造材・断熱材・仕上げ材を兼ねるログハウス工法の特性を生かし、施工を簡略化しつつ高性能の居住環境を提供している。従来、細切れにされがちだった部屋は、一室空間とすることで、広く感じることができる。ログ材を用いた木造仮設住宅群は、日本大学の浦部智義研究室と組んだ住戸の新しい配置計画や仮設から復興住宅への転用計画のほか、建築家の難波和彦(1947~)による岩手県釜石市の集会所や東北大学の五十嵐太郎研究室と協同した福島県南相馬市の集会所などさまざまに展開した。こうした実行力のある活動が評価され、2012年のグッドデザイン賞では金賞を受賞した。またアーティストの彦坂尚嘉(ひこさかなおよし)による壁画を導入した南相馬市の仮設住宅地は、第20回日本ログハウス・オブ・ザ・イヤーの最優秀賞を受賞している。