愛知県で2010年から3年ごとに開催される国際芸術祭。東北大学教授の五十嵐太郎を芸術監督に迎えた第2回は、「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」をテーマにアートを展開した。これは東日本大震災を意識したものだが、「我々が立つ場所やアイデンティティが揺らいでいる危機的な状況」という広い意味を、「揺れる大地」というスローガンに込めている。もうひとつの特徴が、建築的な視点の導入だった。空間的な作品をつくるアーティストが選ばれたほか、建築家もアーティストとして参加し、青木淳(1956~)と杉戸洋(1970~)が名古屋市美術館の一時的なリノベーションを試みたり、宮本佳明(1961~)の「福島第一さかえ原発」やstudio velocityの「Roof」は建物自体をキャンバスとして大規模なインスタレーションを展開した。また愛知県の建築を紹介する本「あいち建築ガイド」や、「オープンアーキテクチャー」といった建築公開イベントにより、都市部ならではの国際展の特色を作り出し、街中の既存建築物も、アート作品と同様に鑑賞できる機会を設けた。ほかに建築を学んだ演出家によるオペラ、建築家が舞台装置のデザインにかかわった演劇も行われた。