2001年アメリカの同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービル(WTC)跡地、グラウンド・ゼロに槇文彦(1928~)が設計した高層オフィスビル。高さ約298メートル、72階建てで、13年末に完成した。9.11メモリアルパークに面し、最上階からはニューヨークの摩天楼や自由の女神を見渡すことができる。外観は全面ガラス張りでシャープな形だが、ガラス面に空やビルが映ることで、周囲にとけ込む、威圧感のないデザインをめざした。塔の最上部から新鮮な空気を取り入れ、下層に流していく手法は、快適な職場環境を提供し、同時にエネルギーコストの削減にも繋がる。グラウンド・ゼロの再開発は、02年にダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind 1946~)がコンペに勝利していたが、その後、メモリアル的なデザインはだいぶ削がれ、経済優先のプロジェクトに変更された。高層ビルは、他にもノーマン・フォスター、リチャード・ロジャース、コーン・ペダーセン・フォックスといった有名建築家が手がけるが、2014年にはシカゴの建築設計事務所SOM(スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル)のデイヴィッド・チャイルズ(David Childs 1941~)によるもっとも高い1WTC(1ワールドトレードデンター)が完成予定である。なお、1WTCの高さ1776フィート(約541メートル)は、アメリカの独立年にちなむ。