大阪市阿倍野区の複合施設。あべのハルカスは300メートルの高さをもつ新しいランドマーク。横浜ランドマークタワーの296メートルを超えて、21年ぶりに日本一高いビルの記録を塗り替えた。設計、施工は、竹中工務店が担当した。ハルカスの名称は、「人の心を晴れ晴れとさせる」という意味の「晴るかす」に由来する。駅から直結し、低層部に百貨店、中層部にオフィス、高層部にホテルが入り、100メートルの高さごとに三段階でセットバック(外観が階段状に後退)している。2013年6月には低層部の百貨店「あべのハルカス近鉄本店」が開業し、14年3月に全館オープンとなる。60階建ての超高層建築でありながら、採光の効果だけでなく、自然換気を促し空調負荷を低減する大きな吹き抜けや、発電や給湯のエネルギーに百貨店やホテルのレストランから排出される生ゴミを利用したバイオガス発電のシステムを導入するなど、環境性能に配慮したことが特筆されるだろう。あべのハルカスはダイナミックな立体都市であると同時に、最高水準の耐震性を誇り、都市が抱える環境問題に対する省エネやCO2削減でも威力を発揮する、テクノロジーを駆使したビルでもある。