東日本大震災(2011年)から4年近くが経過し、復興住宅の建設や内陸移転などが進んでいる。沿岸部の被災地では、L1(数十年から百数十年に一度の頻度の高いもの)とL2(最大クラス)の設計津波(堤防整備等の目安)が設定され、それぞれへの対応を踏まえた計画に取り組んでいる。宮城県岩沼市では、集団移転先の玉浦西地区の造成が完了し、14年4月に被災自治体の中で最も早く宅地引き渡しが完了する一方、造成に着手したばかりの地域もあり、進捗(しんちょく)の差は大きい。国は14年度末までに約23兆円の金額を復興の事業に投資するが、この期間に集団移転地の工事が終わる予定は、335地区のうち2割ほどの68地区の見通しだという。そもそも高台移転は、新しい用地の確保や土地の造成に手間と時間がかかるうえに、全般的に復興プロジェクトは建設業の人手不足や材料費の高騰によって、作業の遅れに拍車がかかっている。震災遺構については、各地で議論が行われ、原発事故で初動が遅れていた福島県でも調査が始まった。宮古市のたろう観光ホテルは震災遺構として保存が決まり、交付金が支出されたが、すでに多くの震災遺構の候補がとり壊された。そうしたなか、消えていく建築を3D映像で記録する新しい取り組みも行われている。