早稲田大学・吉阪隆正研究室を出自とする建築家(1950~)。東京大学において建築ではなく土木工学の教授に就任したように、土木、都市計画、造園、景観など、広範な領域を取り込むデザインを提唱する。新国立競技場を含む多くのコンペで審査員を務めている。バブル期という時代の趨勢(すうせい)に抗うかのように、じっくりと設計された三重県の海の博物館(1992年)は、ダイナミックかつ明快な構造と繊細な素材の感覚をあわせもち、日本建築学会賞(作品)を受賞した。高知県の牧野富太郎記念館(99年)や島根県芸術文化センター(2005年)などの代表作も、構造デザイン、屋根の造形、素材、木の現代的な活用を特徴とし、時代の変化に耐える建築である。また鉄道関係の国際的なデザイン賞となるブルネル賞を受賞した日向駅(08年)や高知駅(09年)などの駅舎の設計を手がけ、今後大改造される予定の渋谷駅とその周辺をとり巻く地域の再生・活性化を目指すまちづくりガイドラインの策定にも携わった。