イタリアのヴェネチアで開催される建築の国際展覧会。第15回となる2016年は、総合ディレクターを務めたチリ出身の建築家アレハンドロ・アラヴェナ(1967~)による「前線からの報告」というテーマのもと建築の社会性を問う内容となった。ゆえに、難民問題、環境汚染、スラム化、貧困など現在の問題が扱われた。また非西洋圏のプロジェクトも多く、注目を集めた。そしてパラグアイの建築家集団による都市移住者のための簡易組立式建築が金獅子作品賞を受賞し、アマゾン先住民のための組立式の学校建築を扱ったペルー館が特別表彰を授与した。同じく特別表彰を受けた日本館では、若手建築家らによる近隣コミュニティーとの繋がりを重視したプロジェクト群を紹介した。一方、ヨーロッパからは複数のパビリオンで難民問題を意識した展示が行われた。例えば、難民の受け入れを扱ったドイツ館では、パビリオンの壁の数カ所をぶちぬき、24時間自由にWi-Fiと充電が使える場として開放した。また金獅子賞のスペイン館では「未完成」をテーマに、2008年の経済危機以降、建設途中で打ち切られたプロジェクトを展示した。