2005年に日本の東京でも始まった音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」は、5月の大型連休期間に、1時間程度の演奏会をリーズナブルな値段で提供するもので、その方法が功を奏して大人気となり集客率もよい。多くのクラシック系音楽招聘事務所が客入りの低迷で悩み、音楽事務所のムジークレーベンや日本交響楽協会のように、08年から09年にかけて倒産の憂き目にあうところも出ているなかで、唯一クラシック音楽の隆盛を幻のように印象づけている感がある。一種の国際音楽祭であり、数多く来日する演奏家のなかで定番として人気を得る個人・団体が出るという現象も顕著になった。この音楽祭は、08年以来、金沢市でも開催されているが、10年には新潟市と滋賀県大津市でも開催。11年には九州の佐賀県鳥栖市でも開催の予定である。音楽祭の意義はともかくとして、人気にあやかるのもいいが、一つの国でこれほど、この音楽祭を広げている国は他にない。クラシック音楽に関する地方の固定観念が文化への思考停止状態と結びついて、オリジナルな発想を抑圧している、かっこうの例となっている。