1940年代に浮上してきたジャズのスタイル。短くバップ(bop)とも言われる。30年代のスウィング・ジャズの演奏が、踊りやすさを求めて形骸化していったとき、当然、それに飽きたりない気鋭のミュージシャンが出てきた。彼らはダンス・ホールの仕事が終わった後、ミントンズなどニューヨークのクラブに集まって、即興の腕を競い合った(ジャム・セッション)。彼らはストラビンスキー(1882~1971)などの現代音楽も参考にしながら、小編成のバンドでリズムの組み合わせや即興の可能性を追求し、その演奏がビバップと呼ばれるようになった。現在ジャズという言葉から一般的にイメージされる音楽は、ビバップの演奏スタイルにもとづくものが多く、この時期以降のジャズはモダン・ジャズと総称される。ビバップを推進した主なミュージシャンにはチャーリー・パーカー(Charles Parker Jr. 1920~55)、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie 1917~93)、セロニアス・モンク(Thelonious Monk 1917~82)、バド・パウエル(Bud Powell 1924~66)、チャーリー・クリスチャン(Charlie Christian 1916~42)、ケニー・クラーク(Kenny Clarke 1914~85)、マックス・ローチ(Max Roach 1924~2007)らがいる。歌手ではビリー・エクスタイン(Billy Eckstine 1914~93)が先駆的な試みを行い、サラ・ボーン(Sarah Vaughan 1924~90)が人気を集めた。