19世紀末から20世紀初頭への世紀の替わり目のころ、アメリカのニューオーリンズで生まれたポピュラー音楽のひとつで、スウィングする演奏や即興(アドリブ、インプロビゼーション)を重要な特徴とする。もともとは葬儀の行列などで演奏していた黒人やクレオール(地域によって意味は異なるが、ニューオーリンズではフランス系やスペイン系の白人と黒人の間に生まれた人たちを指して使われた)のブラスバンドが、白人のマーチやポルカ、黒人のブルースやラグタイムなどを演奏するとき、スウィングするリズム感や即興の要素を強めて芸能化したのがはじまりと推測されている。第一次世界大戦を機にシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルス、カンザスシティーなど全米各地に、さらには海外にも広まった。その過程でソロの即興や編曲が複雑化し、芸術としての評価も高まっていった。歌では歌詞を伴わずに声を器楽的に扱うスキャットと呼ばれる手法もよく使われる。1930年代後半には、大編成のビッグ・バンドによるスウィング・ジャズがダンス音楽として一大ブームを巻き起こした。40年代以降、ビバップ(もしくはバップ)、クール、ウエスト・コースト、ハード・バップ、ファンキー、モード、フリーなど、さまざまなスタイルが生まれた。60年代後半以降は電気楽器の使用が増え、R&B(リズム・アンド・ブルース)的な要素を取り入れた音楽フュージョンが登場した。