フランス語では単に歌を意味する。日本では1920年代の宝塚歌劇で紹介されて以来、主に20世紀前半の文学色の強いフランスの流行歌を指して使われ、50年代から60年代にかけて静かなブームになった。フランスではシャンソン・フランセーズ(chanson franaise)と呼ばれる。19世紀末に芝居のせりふのように表情をつけてうたったイベット・ギルベール(Yvette Guilbert 1865~1944)、社会の底辺で暮らす人たちをうたったアリスティード・ブリュアン(Aristide Bruant 1851~1925)などを先駆者とする。20年代にはアコーディオンで演奏される3拍子のダンス音楽ミュゼットと合流し、30年代からジャズやラテン音楽の影響も受けはじめた。30年代にはダミア(Damia 1889~1978)、モーリス・シュバリエ(Maurice Chevalier 1888~1972)、ティノ・ロッシ(Tino Rossi 1907~83)などが、40年代にはエディット・ピアフ(Edith Piaf 1915~63)、シャルル・トレネ(Charles Trenet 1913~2001)らが、50年代以降にはジョルジュ・ブラッサンス(Georges Brassens 1921~81)、イブ・モンタン(Yves Montand 1921~91)、ジャック・ブレル(Jacques Brel 1929~78)、ジルベール・ベコー(Gilbert Becaud 1927~2001)、シャルル・アズナブール(Charles Aznavour 1924~)らが活躍。60年代以降のロックの影響を受けた歌は、フランスではバリエテ(variete)、日本ではフレンチ・ポップスと呼ばれ、それまでのシャンソンと区別されることが多い。