省略してラグとも呼ばれる。19世紀末から20世紀初頭にかけて流行したアメリカのポピュラー音楽の一種。19世紀末にミズリー州シダリア市の黒人たちが、マーチやワルツの拍子の強弱の位置を逆転して演奏したのがはじまりとされる。それによって同じ拍子の曲でも、リズム感が変化して、ひょこたんひょこたんと揺れるように聞こえることから「ラグタイム=ふぞろいなテンポ」と呼ばれた。即興演奏ではなく、楽譜どおりに演奏される音楽だが、そのリズム感はジャズの誕生に大きな影響を与えた。また、ドビュッシー(Claude Debussy 1862~1918)、エリック・サティ(Erik Satie 1866~1925)、ストラビンスキー(Igor Stravinsky 1882~1971)など現代音楽の作曲家も強い関心を寄せた。「メイプル・リーフ・ラグ」「エンタテイナー」などを作曲したスコット・ジョプリン(Scott Joplin 1868~1917)の曲は1973年の映画「スティング」に使われてリバイバルヒットした。