毎年2月のリオデジャネイロ(以下リオ)のカーニバルの音楽としておなじみのブラジルの基本的なポピュラー音楽。カーニバルでは大太鼓スルドが刻む2拍子のリズムに、パンデイロ(タンバリン)、クィーカ(こすってキュキュキュと鳴らす楽器)、ギターなどを複合的に組み合わせた演奏にのって歌がうたわれ、パレードが行われる。サンバが生まれたのは、奴隷から解放されたアフリカ系の人々がリオに流入してきた19世紀。サンバの初録音は1917年で、ジャズと同じ年。サンバは20年代から30年代にかけてラジオやレコードで全国的に広がり、作曲家のアリ・バホーゾ、女優歌手のカルメン・ミランダ、シンガー・ソングライターのノエル・ホーザやドリヴァル・カイーミら数多くの才人が活躍した。40年代にはアリ・バホーゾ作の「ブラジル」が世界的にヒット。50年代には作曲家のアントニオ・カルロス・ジョビン、詩人外交官のヴィニシウス・ヂ・モライス、歌手のジョアン・ジルベルトらがサンバのリズムを蒸留してボサノバを作り出した。主なサンバのアーティストとして他にネルソン・カヴァキーニョ、カルトーラ、マルチーニョ・ダ・ヴィラ、ベッチ・カルヴァーリョ、パウリーニョ・ダ・ヴィオラ、テレーザ・クリスティーナなど。