デジタル時代に対応して、音楽著作権管理を巡る変化が起こり始めている。2015年9月には、著作権管理団体1位の日本音楽著作権協会(JASRAC)、同2位のジャパン・ライツ・クリアランス、同3位のイーライセンスの3団体が、利用者代表である日本放送協会(NHK)、日本民間放送連盟と「放送分野における管理事業者が管理する楽曲の利用割合を反映した」新しい使用料算出方法で合意した。この結果、放送事業者と管理事業者間で割合算出に使用するデータと作品量の数え方が統一され、適正な計算を行うことが可能となった。また、同年10月には音楽業界最大手エイベックス・グループ・ホールディングスが、JASRACに委託していた著作権管理の一部を自社系列のイーライセンスに移行する手続きを開始。16年2月にはジャパン・ライツ・クリアランスとイーライセンスが統合して、新管理会社NexTone(ネクストーン)が誕生した。音楽使用時に発生する使用料の徴収を代行し、手数料をとって権利者に分配する著作権管理事業者は、これまでJASRACが使用料徴収額の98%を占める寡占状態にあったが、一連の動きによって、使用料や手数料の選択肢が増え、競争が生まれるかどうかが注目されている。低迷する音楽業界の活性化につながるまでには課題も多いが、音楽を巡るデジタル環境への対応が遅れてきた著作権管理方法に一石が投じられたことは間違いない。