2013年11月1日に設立された全日空(ANA)の格安航空会社(LCC)。ANA系ではピーチ・アビエーション(ピーチ航空)に続くLCCだが、香港の投資会社も参加しているピーチとは違い、ANAの100%子会社である。前身のエアアジア・ジャパンは11年8月31日、ANAホールディングスとマレーシアのLCCエアアジアとの合弁により発足したが、経営方針をめぐって両社が対立、合弁を解消した。就航開始は13年12月20日で、拠点は成田空港。新たに出発したバニラエアは、エアアジア・ジャパン時代の失敗を反省し、例えば、「読みやすいシンプルなウェブサイト」を心がけた。また、「定時運航率の引き上げ」を目指す。これはLCCの経営上、極めて重要なポイントである。フライト間隔の短いLCCでは、ある便が遅れると、それ以降の便がドミノ倒しのように遅延し、欠航も生じやすくなる。バニラエアは国内外の旅行需要の多い路線、いわゆる、レジャー・リゾート路線を中心に路線展開を行う。スタート段階では、成田~那覇、成田~札幌、成田~台北、成田~ソウルの国内外4路線。また、エアアジア・ジャパン時代と異なるサービスを数多く用意した。例えば重さ20キロまでの荷物の預け料金が無料、4人以上の予約で使える割引「みんなで割」の新設など。また、予約変更・購入が搭乗直前まで可能となった。運賃体系は、預け荷物、座席指定、事前キャンセル待ちなどの有無で、「シンプルバニラ」「コミコミバニラ」「わくわくバニラ」の三種に分かれている。日本で需要の多い電話予約センターも、有料ではあるが設置。機内食もリゾート路線を盛り上げるために、パエリア風ごはん、クリームパン、パンケーキなどを用意した。また、チケット販売は直販が原則だが、同社では「旅行会社との連携」も重視し、ANAグループのANAセールスをはじめ、すでに数社と提携している。