ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、家きん類などの家畜がかかる伝染病。2000年と10年に宮崎県で発生した口蹄疫、04年以降、日本各地で断続的に発生している高病原性鳥インフルエンザ、01年から09年まで国内で36頭の発生があるBSE(牛海綿状脳症)など、近年では、家畜病に関するニュースが毎日のように流れている。家畜の伝染病は、ウイルスや細菌など、さまざまな病原体がそれぞれの感染症の原因となる。その対策も、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザのように、人には感染しないが家畜間の伝染力が強く、畜産業に多大の被害を与えるために全頭速やかに殺処分して拡大の予防を図る疾病と、BSEのように人への感染を防ぐために、殺処分する疾病がある。これらの対策は、国際標準に適合した家畜伝染病予防法によって措置を講じている。家畜伝染病予防法は、家畜の伝染病の発生の予防と蔓延の防止、家畜及び肉製品などの輸出入について定めた法律である。しかし、家畜伝染病は高病原性鳥インフルエンザのように野鳥が感染媒体となるものから、人の移動が原因になっているものまでさまざまあり、国際間の移動が盛んになればその伝染と発生の危険性はますます増していく。