種子のない果実のこと。例えば徳島県立農林水産総合技術支援センター果樹研究所では、通常は10個前後の種子が入っている特産のスダチで、種子のない新品種を作出した。また千葉県農業総合研究センター暖地園芸研究所では、種なしビワ「希房(きぼう)」を発表した。いずれも消費者からの要望に応えたもの。これらは、染色体が4倍体のものと2倍体のものを交配し、3倍体にすることによって作られている。これらは接ぎ木でふやす(無断繁殖は「種苗法」で禁止されている→「育成者権[植物品種権]」)。同様にしてできた生食用バナナは、株分けでふやす。イトーヨーカドーとタキイ種苗が共同開発したスイカ「たべやすいか」は、種子が成熟しないので、気にせずに食べられる。生食用の種なしブドウは、開花前の花穂を植物ホルモンの一種ジベレリンの溶液に浸すことで作られる。一方、オレンジ、カキ、キュウリなどでは自然に種なし果ができる。