小型の容器(セル)で育成された苗のこと。登録商標名としては「プラグ苗」(ティ・エム・ボール研究所)、「セルトップ(CELL-TOP)」(サカタのタネ)、商品名には「MSプラグ」(ムラカミシード)などがある。くさび形のセルが多数連結したトレーに入れて成型育苗する。トレーの規格は30×60センチ程度で、セルの大きさにより50~800の穴がある。これまで種子繁殖が比較的難しいものや種苗代が高いものなどに用いられてきたが、近年では挿し芽苗や接ぎ木苗などにも利用されている。用土が小容量なので、その品質が苗の出来に大きく影響するため、無病害虫、通気性・保水性、肥料分など、理化学性に優れたものを選ぶ必要がある。近年ではセル成型苗を利用した新しい栽培法も生まれており、例えばキャベツ、レタスなどの葉菜類のセル成型苗で、生育後半は追肥をせず、通常の2倍に当たる40~60日間かけて、灌水(かんすい)だけで育苗することにより、耐乾性が増し、モンシロチョウなどの幼虫数を減少させるスーパーセル苗という育苗法がある。また、従来手植えに頼っていた道路・河川の堤防などの人工斜面(法面)や公園・屋上の緑化(→「屋上緑化/壁面緑化」)などで、グラウンドカバープランツ緑化研究会により、あらかじめ吹きつけ造成した植物生育基板の上に、セル成型育苗したチガヤや他のグラウンドカバープランツ(地被植物)を動力で吹き付け、景観形成するビオ・セル・ショット工法が開発されている。