植物にウイルスが侵入して発症させる病害の総称であり、症状がモザイク模様を示すことからモザイク病とも呼ばれる。植物に感染するウイルスは世界中で950種類以上、国内でも300種以上が確認されており、これらに感染すると、主に葉のモザイク模様、黄色の斑紋、褐色の斑点や輪紋、新芽の黄化、奇形、萎縮などの症状が現れ、病状がさらに進むと枯死に至る。多くのウイルスはアブラムシが媒介するが、アザミウマ、コナジラミ、センチュウあるいは土中のカビが媒介するものもある。また、剪定(せんてい)バサミの使い回しや植物どうしの接触で感染する場合もある。ウイルス病には治療法が無いため、発病株は早めに抜き取り処分する。予防法としては、まずウイルスに汚染されていない健全苗を利用する。次に、疑わしい症状のものは早めに抜き取り焼却処分するとともに、ネット被覆や登録農薬の散布などで媒介昆虫を防除する。また、剪定バサミやナイフを使用ごとに消毒すると拡大を予防できる。なお、17世紀のオランダでは珍奇なチューリップが投機の対象になり、いわゆるチューリップバブルが起きたが、これらはすべてウイルスに侵されたものであった。チューリップは最後にはすべて枯死してバブルは泡と消えた。