マイクを内蔵し、携帯して録音ができる小型の録音装置。近年では、記録媒体にフラッシュメモリー(flash memory 半導体記憶装置の一つ)を用いることで、高音質かつ長時間の録音が可能となり、爆発的に普及している。記録媒体にカセットテープやMDディスクなどを利用していた時代は、記録メディアの購入が必要であるほか、一つのメディアに数時間しか録音できないなどの制約があった。フラッシュメモリーを利用したレコーダーの場合、メモリーの容量によっては、数百時間の連続録音が可能であったり、録音したデータをパソコンへ短時間で転送できたりと、テープやディスクメディアには不可能だった利便性を備えている。また、フラッシュメモリーへの録音は、テープやディスクメディアのレコーダーでは不可欠な回転機構をもたないため、内部で振動や騒音が発生せず、超高音質録音にも向いている。中でもリニアPCMレコーダーと呼ばれるモバイルレコーダーの中には、サンプリング周波数192kHz(キロヘルツ)/量子化ビット数24bit(ビット)と、CDの44.1kHz/16bitと比べて約5倍の100kHzに及ぶ音域と音の強弱を250倍以上のきめ細かさで表現できるスペックをもち、圧倒的に高い音質で録音できる製品もある(192kHz/24bitは、1秒間の音声を19万2000回サンプリングし、それぞれの強弱を2の24乗=1677万7216段階で表すことを意味する→「符号化」)。そのため、野鳥の鳴き声や列車の走行音を録音するマニア向け用途をはじめ、演奏をレコーディングする用途などにも使われている。