厳密な定義はないが、CD(コンパクトディスク)の規格に準拠し、一般的なCDプレーヤーで再生できつつも、ディスクの製造工程や材質に注目し、高音質をうたうCDを、通常のCDと区別して「高音質CD」と呼んでいる。主だったところでは、ユニバーサルミュージックの「SHC-CD(Super High Material-CD)」、メモリーテック社の「HQCD(Hi Quality CD)」、ソニー・ミュージックエンターテイメントの「Blu-spec CD)」がある。「SHC-CD」はディスクの素材に従来のCDと同様のポリカーボネートを使用しつつ、より透明度の高い材料に変更し、「HQCD」は透明度の高いポリカーボネートを用いるのに加え、金属製のデータ記録層に、より反射率の高い材質を採用している。Blu-spec CDは、より高い精度が要求されるブルーレイディスクの製造技術を転用(「ブルーレイディスク」はBlu-ray Disc Associationの商標)。ディスクの素材にはブルーレイディスク用の高分子ポリカーボネートを使用するほか、原盤の加工には波長が短い青色レーザーを使用し、最終的にピットと呼ばれる盤面でデータを示す「へこみ」の位置と形状を、一般的なCDよりも高精度に仕上げている。
なお、ここでの「高音質CD」は、規格自体は従来のCDにのっとったものであるから、スペック面では既存のCDと同等である。高音質に感じられるかどうかは、再生装置や聴取者の興味による面もあり、本来は「新素材CD」あるいは「新製法CD」と呼ぶべきだろう。