AR(拡張現実)技術を用いて、運転中人間の視野に入るフロントガラスなどの前方に、運転に必要な情報を直接映し出すシステムのこと。もともとは軍事航空分野において開発されたが、現在では旅客機をはじめ、カーナビゲーションシステム(カーナビ)など、幅広い分野で利用されている。基本的な仕組みは、ダッシュボードに埋め込む形で搭載されたシステムで、映像を表示。これを拡大させてフロントガラス等に映し出すというもの。すでに多くの車両で採用され、速度表示やルート案内などに役立てられているが、これまでは大半がモノクロ表示にとどまっていたため、表示できる情報は限定的だった。そんな中、パイオニアは2012年5月、光源にRGBレーザーを使った独自の技術を採用することでカラー化を実現。かつてない豊富な情報を表示できるようになり、地図描画をはじめ、より詳細なルートガイドを表示可能にした。また、デンソーは12年10月、TFT液晶を使った世界最大の表示サイズを15年に商品化すると発表。テキサス・インスツルメンツ社も13年1月にアメリカ最大の家電見本市CES(Consumer Electronics Show)で自社のDLP技術(光をデジタル制御する技術)を応用したHUDの開発を発表するなど、技術開発競争が激化している。