1964年に開催された東京オリンピックを目標に整備され、最初の開通から半世紀を迎えた首都高速道路(首都高)を再生する計画が、2012年9月、国土交通省の有識者会議より提案されている。それによると、都心環状線にある高架橋の撤去と地下化が主な柱となっており、首都直下型地震に備えるためにも、国主導で更新を進めるべきとしている。当面は、川を干拓して川底に道路を築造した築地川区間などをモデルとして、更新方法や費用について直ちに検討を進めるべき、との意見も付いた。首都高は現在、年間300億円を投じて道路の補修を行っているが、老朽化は確実に進んでおり、区間によっては造り直した方が安くなることも考えられる。しかし、この提案に沿った工事を行うには巨額の財源が必要。提案では「税金に極力頼らず、料金収入を中心とした対応」とあるが、これにはさらなる料金値上げが必須となってくるのは間違いない。一方、この工事を行うに当たっては都心環状線の交通量を減らすことも欠かせない。現在、都心環状線を利用する6割は通過するだけの車両と見られ、首都高再生を実現するにあたっては、13年度末にも全線開通する中央環状線(→「3環状」)を、迂回路(うかいろ)として有効活用するプランの併用も議論の対象となりそうだ。