内部で火薬を爆発させることによってガスを発生させ、風船状に膨らんだバッグで乗員の衝撃を吸収する装置のこと。初期には前席乗員のためとして登場し、運転席はステアリング内に、助手席はダッシュボード内に装置を埋め込んだ。続いて側面衝突にも対応するため、フロントドアからリアドアまでガラス周りをバッグで覆うカーテンシールドエアバッグが登場。同時に各シートの外側にサイドエアバッグも装着されるようになった。この他、ドライバーの下肢部分を保護するためのニーエアバッグや、追突に対応するためのリアウインドーカーテンシールドエアバッグなども、一部車両に搭載される。また、2012年に乗用車では初めてボルボ(スウェーデン)の「V40」がオプションで歩行者用エアバッグを搭載。衝突と同時にボンネット上部の隙間からU字型のエアバッグが展開し、歩行者を守る。一方、国産車では大半が運転席と助手席以外は標準装備されていないため、多くの車で後席は未装着のままである。ただ、エアバッグも安全に対して万能というわけではなく、補助拘束装置(Supplemental Restraint System ; SRS)といって、まずシートベルトとの併用が大前提で設計されていることを忘れてはならない。加えて、動作時は強い圧力で瞬時にバッグが膨らむため、その勢いで擦過傷(すり傷)や打撲、骨折や火傷(やけど)などの傷害を受けることもある。ダッシュボードの上に装飾物などを置くことも危険で、欧米ではこれを厳しく規制する国が多い。また、チャイルドシートは後部席への取り付けが原則だが、後部座席がないなどの理由からやむを得ず助手席に取り付ける時は、助手席用エアバッグの動作をオフにする必要がある。ところが、大半の国産車にはこの機能が備わっていないのが現状だ。