電気をエネルギー源としてモーターを駆動して走行する車両のこと。タイプは大きく2通りあり、充電が可能な二次電池から電力を得るタイプと、発電用エンジンを備えて発電しながら走行するタイプに大別される。前者はすでに日産「LEAF(リーフ)」や三菱「i-MiEV(アイミーブ)」などリチウムイオン電池を搭載する車両として販売済み。しかし、航続距離は搭載バッテリーの容量に依存するため、実際の航続距離は最長でも200キロ程度と、ガソリン車に比べてかなり短く、普及は足踏み状態にある。そこでユーザーの関心は、ガソリンエンジンを併用しながらバッテリー容量も大幅に増やし、EVとしての走行距離を延ばしたプラグインハイブリッドカー(PHV)へと移りつつある。一方、後者のタイプとして近年急速に注目されているのが、「レンジエクステンダー(range extender)」と呼ばれる発電用小型ガソリンエンジンを搭載するものだ。エンジンで充電しながら走ることができるため、航続距離を大幅に増やすことができる。国内メーカーでは、マツダが2013年12月に、排気量330ccのロータリーエンジンをレンジエクステンダーに使う試作車を公開。航続距離はベースとなった「デミオEV」の約200キロから、約380キロにまで延ばすことができるという。また、14年4月に発売されたBMW初のEV「i3」はこれをオプション採用し、航続距離をリチウムイオン電池型の約2倍となる300キロ前後にまで延ばした。一方で、充電ネットワークの拡充を図る「【PHV・PHEV・EV】充電インフラ普及プロジェクト」も進んでいる。これはトヨタ・日産・ホンダ・三菱の4社により、合同会社「日本充電サービス」を立ち上げ、電動車両用充電器の設置と維持に関する費用を、同社と国の補助金で賄うもので、SA、PAをはじめ自治体や商業施設、観光施設等がこれを活用して充電器を設置。電動車両ユーザーはプロジェクトの会員(会費は有料)となって専用の「充電カード」で自由に充電器を利用できるようにする、というもの。ユーザーの利便性を高めることで、電動車両の普及を進めるのが目的だ。13年11月に設置者募集をスタートし、加盟充電器は、15年春までに急速充電器が2600基、普通充電器が15年末までに4000基を目指すとしている。