競馬はイギリスで貴族のスポーツとして始まった。最古の競馬の記録は14世紀後半、最初の競馬場は16世紀のチェスターにできた。競馬は「スポーツ・オブ・キングス」といわれるように王室の擁護のもとに発展し、17世紀後半から約1世紀の間に、スピードに卓越した競走用の一品種サラブレッドを誕生させた。これが競馬の世界的な普及と統一性、歴史的永続性を確固たるものにした。競走形態は2頭で争うマッチレースから多頭数で争うステークス競走へ、競走距離の短縮、競走年齢の若齢化、そして3歳五大クラシックが出そろうなど、18世紀終わりまでに近代競馬の概要は整った。大英帝国全盛の19世紀、スポーツと競馬は同義語であった。20世紀に入るとフランスとの交流が盛んになり、第二次世界大戦後にはアメリカともドッキングした。1970年代後半からアラブ資本が参入し、投資的規模は著しく拡大、趣味から投機的産業に変身した。近年、UAE、香港、日本などアジア圏の競馬が世界的に重要な役割を果たすようになり、ワールドシリーズ・レーシング・チャンピオンシップなどの国際競走シリーズが設定されるに及んで、グローバル化は一段と進んだ。