高齢社会を迎え、定年後の時間的ゆとりを持ち、健康志向の強い中高年の登山者が増加している。登山は基本的な用具などをそろえてしまえば、あとはそれほど費用がかからないこと、歩くことや新鮮な空気を吸うことにより心肺機能が高まり、健康を維持できる点などが増加の理由。また、山頂を目指す登山ばかりではなく、山の中腹から風景を楽しんだり、山が育んできた地域の文化を訪ねたり、低い山を中心に山登りを楽しむトレッキングの人気が高まっている。同時に山岳遭難も高齢化が進み、2005年の遭難事故のうち、5件に4件は40歳以上。山岳会などの組織に入らず、少人数で気ままに登るのもその一因といわれてきたが、携帯電話の過信により40人からのグループが遭難した例もあった。団塊の世代が定年を迎え、中高年遭難事故の増加が危惧されているが、事前の下調べ、装備の確認、そして何より自分の体力にあった登山計画を立てて、山を楽しむべきだろう。