日本のアニメーションを代表するスタジオジブリの作品。アーシュラ・K.ル=グウィンの古典的なファンタジー小説が原作。国を捨てたエンラッドの王子アレンが、大賢人と呼ばれる魔法使いゲドと出会い、世界の異変の真相に迫る。「ブレイブ ストーリー」と同じ2006年の夏休み公開作品で、「竜の登場するファンタジー大作アニメの対決」などと呼ばれて注目を集めた。宮崎駿監督の長男・吾朗の初監督作品という点も大きな話題に。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが抜擢した宮崎吾朗監督は三鷹の森ジブリ美術館の元館長で、アニメの現場経験は初。映画のエンディングにはル=グウィンの原作と併記で、コスチュームや場面のイメージソースとなった宮崎駿作の絵物語「シュナの旅」が原案としてクレジットされるなど、さまざまな点で波紋を呼んだ。前線を走ってきたベテラン監督たちの「次代」がどうなるのか、一つの象徴とも呼べる作品である。